第101回 HITOTSU学公開講座 (2014.11.9)

第101回HITOTSU学公開講座、リバイバル21世紀の新しい生き方 「和の産業化」全3回シリーズの第2回目を開催させていただきました。

まず、前回に共有した事として、2つのキーワードをお伝えしました。

◎ルール・メイキング。(ルールを作っていくこと)。
◎尊厳性の危機。

私たちを取り巻くこの世界にはさまざまなルールがあります。
社会、会社、政治、資本主義、物理学など、、、それらのルールは作られたものです。
なおかつその作られたルールによって、私たちの日常生活は、尊厳の危機にさらされているのです。

まず、第1回目の内容をポイントで振り返りました。
詳しい内容をご覧になりたい方は、第1回目の開催レポートをご覧ください。


第1回目は、本質的な話が中心でしたが、今回は現実の経済とつなげて「和の産業化」の話をお伝え致しました。

まず、「私たち」と「経済」の関係性を「お魚」と「海」の関係性に例えてお伝えしました。

海から飛び出て生きていける魚はいませんし、海が汚れていたら、お魚も影響を受けざるをえません。「経済」という「海」はお金の循環が活発でないと、「私たち」という「お魚」は生きていくことが難しくなります。

今回、大きく分けて3つの話題でお伝え致しました。

1、アベノミクスの三本の矢がどういう状況なのか?
2、アベノミクスとつなげたTPPとは?
3、日米関係、150年間の帰結。代案の和の産業化とは?

1、アベノミクスの三本の矢がどういう状況なのか?
もしかしたら、批判に聞こえるかもしれませんが、問題意識を明確に共有したいのです。もちろん評価するべき面もありますが、気づいてない側面もあります。今のアベノミクスがもたらした影響を受けている「私たち」という「お魚」にどんな影響を与えるのでしょうか?

大前提として、日本経済が不景気だ、ということです。みなさんのお給料が増えて、世の中の消費も活発な好景気なら問題ありません。ですが、景気が悪く、商品が売れず、売れないなら景気が悪くなり、収入も下がり、買いたい物もない、そんなデフレから脱却しようとアベノミクスで刺激を入れたのが、1本目の矢である「大胆な金融政策」です。

家計に例えれば、家計のやりくりが上手くいかず、手元にお金が無いのに支払いもしないといけない状況を切り抜けるには、どこかからお金を借りてしのぐことができます。そして、さらに余分にお金が手元に入ってきたら「これを買いたい!」という消費マインドが高まり、お金の循環があがっていきます。

市場にお金の量を増やすのが通貨発行権を持つ日本銀行の役割です。その日本銀行がお金をどんどん印刷して、世の中にじゃぶじゃぶと流せば、消費も活性化して、物が売れて、景気が良くなり、家計が潤うこと。

日本銀行は、2013年4月に金融緩和をして株価を押し上げましたが、2014年4月には消費増税があり、日本経済は停滞していました。停滞していた経済を刺激するために今年10月31日に異次元緩和第2弾として、年間に買い入れる資産を現在の60~70兆円から80兆円に増やし、市場に流すお金の量を拡大することを決定しました。

大胆な金融緩和を行うことで、高所得者層は株や土地の値上がりで潤い、成長戦略が軌道に乗れば、日本経済全体が潤い、お給料も上がり、低所得者層も潤っていくことを目指しているのがアベノミクスです。
いわゆる「トリクルダウン理論(富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透していく)」に基づくものです。しかし、円安株高や法人税減税で大企業・輸出企業は潤う一方、中小零細企業や低所得者層に恩恵は行き渡っているでしょうか。企業が得た利益を内部留保(日本企業全体で300兆円にものぼるといわれる)や自社株買いに充て、大企業が海外工場や海外企業の買収に使ってしまえば、賃金引き上げなどの庶民に利益が回る「トリクルダウン」は発生しません。

2本目の矢である「機動的な財政政策」とは、政府が予算を組んで、そのお金をどこにどう使っていくか、です。
では、何に使われているかといえば、国土強靭化政策などの「公共事業」です。しかし、公共事業に依存するだけでは、新たな付加価値や生産物が生まれないため、長期的な経済効果は望めません。
家計で例えれば、手元に10万円入ってきたお金をどこにどう使うかが財政政策です。これを単なる無駄遣いしたら「浪費」です。しかし、新たなスキルを身につけたり、新しい付加価値を生み出す将来のための「投資」になります。

3本目の矢は、「民間投資を喚起する成長戦略」です。
今のアベノミクスの経済政策、成長戦略の方針は民間の力を活かせるように規制緩和や企業活動の自由化といった「競争」で活性化を図ろうとするのは、実質的に10年以上前の小泉政権の二番煎じに過ぎません。
例えとして、格闘技でイメージすれば、ボクシングの王者や横綱がいるリング内に、格闘技初めて間もない人が「自由に闘ってください!」と言われたとしたら、どうでしょうか。
元々、強烈な格差がある状態では、勝負になりません。地方に大型スーパーが乱立した結果、当地の商店街はシャッター街になってしまったように、一部の大企業はより巨大化が進みますが、競争に敗れた企業は激増し、経済活動は停滞してしまい格差が拡大してしまいます。

これに加えて、安倍自民党政権が元々の主張を覆し、交渉に参加しているTPPの問題があります。
背景には、アメリカを中心とするグローバル金融資本主義の元で推進されている方向性に危機感をもたないといけません。場合によっては、経済戦争として、日本が経済植民地化されるほどの取り返しのつかない危機になる、と警鐘を鳴らしている人もいます。

※TPPとは。
Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreementの略。
日本語では「環太平洋戦略的経済連携協定」、「環太平洋パートナーシップ協定」ともいう。参加国の間で関税(輸出入にかかる税金)を一切なくし、関税以外でも経済のあらゆる国境を取り払おう、という協定。

はじめはシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国の間で交渉が始まり、2010年にベトナム、チリ、オーストラリア、ペルー、マレーシア、アメリカの5カ国が加わって、アメリカ主導の元で推し進められてきました。2012年にはカナダ・メキシコも参加を表明し、日本も参加するようにアメリカは強く働きかけています。

安倍首相は2013年3月15日、国民への公約を破り、日本の国を破壊するものと言われてきたTPP交渉に参加することを、表明しました。

TPPは、2本の柱で成り立っています。
「すべての品目での関税の撤廃」と「さまざまな分野での規制の撤廃」。

この2つのことが、わたしたちの生活にどんな影響をもたらすのでしょうか。参加国の間で、すべての品目の関税が撤廃されるだけではありません。私たちの生活に関係するあらゆる分野で、これまで私たちの生活を守っていた規制が取り払われ、アメリカが求めている、一部の大企業やお金持ちの投資家に有利な制度に統一され、日本の国を根底から造り変えてしまう取り決めなのです。

詳しくは、「猿でもわかるTPP」という動画を参照してみてください。

9つの理由。
1、格差社会が進行し、デフレが悪化します。
2、日本は移民国家になり、国柄や文化が失われていきます。
3、国民皆保険制度が崩れます。
4、海外の危険な食品を規制できなくなります。
5、国民の税金が海外に流出します。
6、日本の農業は崩壊し、食料自給率が劇的に下がります。
7、国民の資産が奪われます。
8、国民主権が崩壊します。(ISD条項)
9、一度入ったら抜けられません。(ラチェット規定)

日本に対して、巧妙に圧力を掛けているアメリカの思惑があります。早期妥結を目指しているTPPは、二度と抜けることができないことから地獄の片道切符といっても過言ではない現代版不平等条約です。

関税障壁の撤廃は、関税自主権喪失に等しく、
非関税障壁の撤廃は、治外法権にも相当します。
この二つの障壁が撤廃されれば、アメリカが描く新世界秩序のルール・メイキングに巻き込まれてしまいます。それは日本が立ち直ることはできないほど、尊厳性は傷つけられ、日本経済のみならず、尊厳性が蹂躙される精神植民地化の危険性がある深刻な条約なのです。

150年前、圧倒的な軍事力を示した黒船来航を機に、日本が諸外国と屈辱的な条約を結ばざるをえなかった時の日米関係が現代の日米関係とオーバーラップする様相をみせています。特に、時代の変化に対応しきれず、自己の保身に走って、外圧に屈してしまった江戸幕府と今の社会権力者層と自民党政権が重なってみえてこないでしょうか。

安倍政権が進めている増税、TPP加入、未来世代に残る莫大な借金である追加金融緩和、福岡市をはじめ6カ所に展開する国家戦略特区の構想は、日本と日本人の尊厳性を喪失する危機的な状況にあります。

このアメリカを中心とする西洋のルール・メイキングと尊厳性の危機を突破するのが、日本の和心の教育革命であり、和の産業化なのです。

会の最後には、HITOTSU学創始者・Noh Jesu氏からのポエム「Soul J あなたよ」が送られました。

第3回は、12/21(日)の開催です。次回もどうぞご期待ください!

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