9月からスタートした「ソフトウェア戦争を勝ち抜く日本の人づくり戦略」の全3回シリーズも今回で最終回を迎えました。今回は、シリーズのまとめと皆様からの質問にお答えしました。
今回のキーワードとして「パラダイム」をあげました。パラダイム(paradigm)は、ある時代の分野において、支配的規範となる「物の見方や捉え方」と定義されています。
もう少し説明を加えると、狭義には科学分野の言葉で、天動説や地動説に見られるような「ある時代を牽引するような規範的考え方」をさします。このような考え方は、時代の流れによって、革命的・非連続変化を起こす事があります。これをパラダイムシフトと言います。
今の時代は、地球が宇宙の中心にあるのが当たり前だった中世のパラダイムが覆されたコペルニクス的転換とは比べ物にならないパラダイムシフトが起きようとしています。
現在私たちが知っている地球のイメージとは大きくかけ離れている古代インドの地球観を通して、中世と現代のパラダイムシフトを比較してみていきました。
当時はローマ教会が多大な影響を持ち、信仰だけでなく、あらゆるものの見方を規制するようになっていました。地球は不動の宇宙の中心に不動であり、地球の周りを星が回っているのが正しい宇宙観でした。中世キリスト教の社会では、絶対の真理とされました。時代の当然(パラダイム)に異を唱えると、異端者になってしまう時代でもありました。「それでも地球は動いている」という言葉で有名なガリレオは宗教裁判にかけられ、自説を撤回しなかったブルーノは火刑にされました。
それまでの思考や認識の基準点であった“神”中心のパラダイムから出ることによって、思考・認識・真理追求の基準点(プラットフォーム)が人間の理性に拠り所を置くようになります。
デカルト、ニュートンをはじめとする第二の知識の爆発によって、それまで神学の下位であった哲学や科学などの学問が発達していきました。そして、現在までの400年間ほどで驚異的な人類文明の進化がおこりました。
現在のパラダイムについて、もう少し詳しく説明しましたが、5感覚から入力した情報を脳が処理した結果を観ている宇宙観であり、それが真実だと思い込んで、受け入れている状態からスタートしています。これは時間、空間、存在がそれぞれ分離独立していると認識できるため、一言で定義するなら「分離のパラダイム」と言えます。
認識技術がもたらす本質的変化、今までの思考や認識の基準点であった“五感覚・脳”(有・錯覚)の「分離のパラダイム」から出ることで、思考・認識・真理追求の基準点(プラットフォーム)が“真理”(無)に拠り所を置くようになります。
自分と自分の宇宙が“有る”ことが当然の時代から、“無い”ことが当然の時代へ、人間の“認識”のパラダイムシフトの世界について、科学的な裏付けとして様々な実験やデータが出てきていることを紹介しました。
昨年5月に、世界的に有名な科学誌「Nature」にある実験が掲載されました。それは、人類歴史500万年間で当たり前だった「私がいる、宇宙がある」という存在が「有るのが当たり前のパラダイム」の大転換をもたらすと言ってもいいものです。量子の世界の不思議な性質に対して、「観測がすべてである、私たちが観測していないときに宇宙は存在しない」ということが証明されたのです。
しかし、量子は肉眼では観察出来ません。肉眼で観察できるマクロの世界は巨視的な世界です。他の科学者らの考えでは、ミクロの世界では通用するかも知れないがマクロの世界では通用しないと考えられていました。しかし、先日この見解に対する答えとして、11/4にNTT研究所が発表したリリース記事をご紹介しました。
・参考サイト
「超伝導磁束量子ビットを用いた巨視的実在性問題の実験的検証に成功」
http://www.ntt.co.jp/news2016/1611/161104a.html
昨年の実験で証明された「観察しないときは波、観察しているときは粒子」という「この世のものは見るまで存在しない」非実在性がスケールの大きいマクロの世界(巨視的世界)にも適用されることが証明されたのです。
存在が有るのが当たり前の時代から、無いのが当たり前の時代へパラダイムシフトが起こる今、知識を得ることも大切ですが、これからの新しい生き方、新しい時代を創るのかが重要になります。
全体的な話としてソフトウェア戦略の重要性、AIの進歩による3つの危機(雇用、アイデンティティ、尊厳)、私たちの現実世界はマトリックス(仮想現実)というシミュレーション仮説であることをポイントで振り返りをしました。詳しい内容をご覧になりたい方は、第1回目、2回目の開催レポートをご覧ください。
会の後半に観術の概論とつなげて、全体像を整理しました。
人類500万年の歴史で繰り返したのが、時間、空間、存在が絶対にあり、そこにいる自分自身が絶対に存在しているという考え方です。私たちはこの宇宙の中から、いかに自由になっていくのか、これを観術が目指すところとして、「統制不可能な宇宙から統制可能な宇宙へ」という話をしました。
私たち人間が共通して備わっている脳の癖(機能)は、部分だけをとり、違いだけを取り、過去とつなげて取り、範囲を有限化させます。五感覚と脳に基準を置いて、過去のイメージや因果から自由になれず、苦しい生き方を繰り返してきました。この脳の機能と五感覚を突破させていくのが認識技術、観術です。観術によって、脳と五感覚では捉える事ができない感覚が“0感覚”です。
観術を道具に使って、まずは自分自身が新しい生き方を創造し、時代の変化を作る確信をみなさん自身の内側からつかんで欲しいと思います。
そして、12月18日に大阪で行われるJAPAN MISSION PROJECTにご参加いただき、観術創始者Noh Jesuが20年間ずっと伝え続けた話をみなさんと共有し、パラダイムシフトを作る確信を得てもらえたら嬉しいです。
http://project.japanmission.jp/event/
会の最後にNoh Jesuのポエム「新しい希望の胎動」を紹介しました。日本が本当の意味で人間の精神を開く文明を築くこと。それが21世紀の日本が大きな使命だと20年前から語り続けています。
次回のHITOTSU学公開講座は、観術創始者Noh Jesuの特別講座となります。テーマは「明治維新の完成と恒久世界平和」で、12月11日(日)に皆様と会場でお会いできることを楽しみにしています。