第66回 HITOTSU学公開講座 (2011.11.27)

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HITOTSU学公開講座、十牛図編第5回は「茶道」についてでした。

今回は、十牛図の伝える悟りの世界を理解するために、まず「言語」について問題提起するところからご説明させていただきました。

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私たちが今使っている言語は、既に存在しているこの現実・現象に名前を付けて整理整頓してきたものです。これを体感覚から来る「暗記言語」と表現しています。
 この暗記言語は、私たち人間が持つ五感覚によって認識された現象を説明する言語ですから、「なぜ存在しているのか」について説明することができない限界を持っています。
 その結果、これほどまでに科学技術が進歩し、多様な思想哲学宗教が溢れている現代においても、「人間とはなんなのか」について明確な答えを得ることも叶わないのです。
 私たち一人一人が生きていく上でも、「自分とは何なのか、宇宙自然が何なのか(宇宙論)」がわかった上で、「どう生きるべきなのか(人生論)」を考えることはとても重要です。

 21世紀に必要とされる技術は「認識技術」です。私たち人間が獲得してきた技術によって、時代も人間の生き方も大きく変化してきました。農業革命を起こした農業技術、産業革命を起こした科学技術は、私たち以外の自然環境を変化させる技術としてこれまでの人類歴史の発展に大きく貢献してきました。
 ですが、これまでの暗記言語をもとにした技術では、人間のもつ根本判断基準の問題を解決できません。判断基準が作り出す無数の問題を残したままでは、人間は屈辱・残酷・悲惨な生き方を繰り返してしまいます(四苦八苦・六道輪廻)。

 ですから、私たちが今出会っているすべてを整理整頓するためには、今までにない新しい言語が必要になってきます。HITOTSU学では、それを心感覚からくる「イメージ言語」として定義し、誰もが理解・説明・応用可能な道具として開発してきました。
 このイメージ言語を獲得し、今ここで活用していくための悟りの道を表しているのが「十牛図」であるという観点から、改めて十牛図の全体像をお伝えいたしました。

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 日本文化には、この悟り・真理へと至る段階が「道」という形で伝承されているとNoh Jesuは感じています。今回は、「茶道」について、Noh Jesuの観点から十牛図を通して整理いたしました。

 侍の時代に、士農工商の最も低い身分であった商人の千利休が、当時の最高権力者たちを弟子にしてしまった利休の茶道。そこには、単なる技術を超えた何かが存在していたことは間違いないと思います。
そしてまた、土地を通して主従関係を構築していた封建社会が、与えるべき土地がなくったという限界を迎えていた当時の社会情勢の中、名誉を与えることで平和な秩序を構築しようとした織田信長や豊臣秀吉が、茶道を武士の道として奨励した着眼点は鋭いものがあったのではないでしょうか。

 利休の茶道は、侍の真剣勝負をそのまま茶室へと移動させた、「究極の緊張状態」を創出する命懸けの出会いの場であったとNoh Jesuは解析しています。
 その観点から、十牛図の段階に当てはめて解析を行いました。

1. 尋牛
茶を通して、主人、客人共にシンプル・無我になっていく決断が必要なのが利休の茶道です。この段階では、お互いが「決断」を通し、一刀勝負の緊張感に身を置きます。
2. 見跡
主人が客人を迎える茶室の用意であるしつらい(室礼)。その場をどんな場として認識し、設定するのか。命をかけた真剣勝負にふさわしい最高の準備をすることで、お互いの出会いの意味価値がより高められます。それはさながら、関ヶ原の合戦の準備を仕上げるようなものです。
3. 見牛
茶を出し、それを受ける。武士の勝負における、最高の攻撃(火)と最高の防御(水)との出会い。炭の火加減、水の準備、全てが最高の出会いの瞬間のために存在し、その出会いのイメージを準備することが必要です。
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4. 得牛
イメージが準備でき、いよいよ出会いを迎えます。客人が手水で手洗いをする作法は、今までの過去をすべて整理し、この一瞬に生死をかけた勝負に向かう心を準備することです。
5. 牧牛
自分の全てを整理し、心の最後の整理をして出会いを待ちます。履物を脱ぎ、茶室に上がるとき、その履物は死後も残る自分自身の表れを象徴しているとも受け取れます。
どこまでシンプルに、どこまで整理ができたのか。全てがすっきりと無我になって出会う心そのものになっているのです。
6. 騎牛帰家
尊敬と謙遜を持って、出会いの扉をくぐります。にじり口の狭い入口を通る時、お互いの人生をかけて準備した心と心が出会うことができます。聖書にも「狭い門からはいれ」という言葉がありますが、究極のシンプルさが、究極の感動と無限大の神秘との出会いを可能にします。
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7. 忘牛存人
自分の心を読んでいる相手との出会い。心と心が出会っています。どんなささいな仕草、行動、表情も全てが心の表れです。利休七則という教えがあるそうです。この教えの中から、互いの心と心の出会いを何よりも重要視した利休の心が感じられます。
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8. 人牛倶忘
主人の心と客人の心が完全に出会い、2つの心が1つになって、お互いが上昇する出会いがあります。今ここ、究極の存在態となってひとつを感じることができます。
9. 返本還源
出会いに究極の意味を感じることができる意味態。すべての力を集中させて咲かせた花。その花そのものを感じ、味わって、その花が散ったあとの余韻までをも美しく感じることができる、わびさびの「さび」の世界を感じます。
10. 入鄽垂手
茶道を通して、心と心の出会いをつなぐことができる究極の関係態として、茶道を広げていくことができる生き方を獲得・実践していきます。

 21世紀は、今ここをどのように認識できるのかの認識力が重要な時代です。何よりも心を重視し、文化の中に残してきた日本。その日本が持つ真理の魂を残念ながら現代に生きる私たち自身が観ることができなくなってしまっています。
 多様な問題にあふれ、希望が持てないこの時代に、どんな未来への感動的なロードマップを提案できるのか?そのために、私たち一人ひとりが、どんな認識を持つべきなのかに関心をもって、今からの時代を作っていく主人精神を取り戻すことが重要ではないでしょうか。
 全てが真理であり、喜び感動であることを認識することができたときに、人間の無限の可能性と尊厳性を取り戻し、誇りをもって生きていく新しい21世紀の生き方が可能になります。

 日本の無限の可能性と、時代が願う使命をもっていることに一刻も早く気がつき、世界のためにその力を使って欲しい。世界の希望となるJAPAN DREAMを実現させ、すべての国家民族宗教の違いを超えて、信頼と尊敬あふれる関係性のモデルを現実化したいきたいというNoh Jesuの熱い思いを会場の皆さも感じていただけたと思います。

 2011年秋より、21世紀の希望の関係性を現実化する日韓ビジョン同盟のムーブメントが生まれました。日本と韓国、近くて遠いと言われるこの両国が感動のビジョンを共有してつながることは、世界の希望です。
 ぜひ皆さんと共に、大きな流れを生み出していきたいと願っております。
日韓ビジョン同盟の詳細はこちら

 来月は「日本道」のテーマでHITOTSU学公開講座を開講いたします。2012年が日本と世界にとってどのような年となるのか。日本が果たしていくべき役割とは。そこに向けて私たち一人ひとりが何をすべきなのか。ともに考えていける場としていきたいと思います。

 皆様とお会いできることをスタッフ一同、心よりお待ちしております。