第68回 HITOTSU学公開講座 (2012.1.8)

2012年最初のHITOTSU学公開講座、「知の統合」をテーマとした十牛図のまとめの回となりました。

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 まずは、HITOTSU学が語っている世界がどのような世界なのか、なぜ今の時代に必要なのかというこれまでの人類歴史の全体像から整理をしていきました。

 今からの時代は、大きな変化が必要とされています。そのキーワードは「人間の身分上昇」です。農業時代の絶対王権の下で奴隷のような生き方しか許されなかった時代を超え、西洋は産業革命・民主主義革命を通して、新しい人間の生き方=個人が大様のように生きることができる個人主義を獲得しました。
 その個人主義が中心となり、科学技術の隆盛によって作り上げてきた現代社会ですが、まだまだ多様な問題を内包しています。これは、人間とはなんなのかという本質的な問題解決をする技術が発達されず、人間以外の環境の変化に特化した科学技術が急激に進歩してしまったことによるアンバランスが起きていることによる問題が大きいのです。
 自分以外の世界を整理整頓する技術に加え、人間とはなんなのかという本質的な整理が起きる技術が開発されることによって、さらに人間に対する定義がバージョンアップが起きる時代が到来する。新しい人間観の再定義が未来社会の基本となっていきます。そのための新しい観点を提供していくことがHITOTSU学と観術の使命なのです。

 この技術の必要性についてを「イメージ言語」という新しい道具の観点でさらに整理をしていきました。
これまでの現実の世界(身体・時空間)は、私たちの人間五感覚脳の認識機能を通してみていた相対的な世界です。この条件によって変化してしまう相対世界を整理整頓することが必要であり、人類はこれまで、多様な現象を整理整頓し語ってきました。ですが、その関係性を説明できなければ、単に信じる世界になってしまいます。科学(Science)は、すべての因果関係を整理整頓できることが求められます。
これは西洋の科学が追求している最終理論の世界、そして東洋の悟りの叡智の世界を統合していく世界にもつながります。すべての相対を整理できる絶対の世界。それは言い換えると全く異質の次元を疎通交流させることができる道具です。

 人類は道具の発見によって、飛躍的な進化を生み出してきました。これからの時代をリードしていく「道具」が、HITOTSU学と観術が提供する「イメージ言語」なのです。

今回は、これまでの知と、観術による知がどのような違いがあるのかを整理しました。

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こういった人類歴史の発達の段階とあわせて十牛図の観点を用いながら「知の統合」の整理を行なっていきました。

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 この表の通り、悟りにも段階があります。まず最も重要な判断基準の問題を理解すること。そして、悟りからくる本当の和の世界を実現していく意志が表現されているのが実は日本の十七条憲法なのです。(尋牛)。
 そして、脱日常思考の必要性に気づくこと。今までと違う見方を取り入れることが必要です。現実的には、成功哲学や脳科学、ニュートン力学があげられます。この段階を経て、次に今までのイメージの限界を超える必要性と出会っていくのです(見跡)。
 ここから本質的な東洋思想の世界が必要となってきます。また、アインシュタイン博士の相対性理論や、ミクロ世界を取り扱う量子論も私たちの日常のイメージでは理解が困難な世界です。このような世界との出会いを通して、脱イメージの悟りの必要性が感じられてきます(見牛)。

 得牛の段階では、釈迦の空の世界そして西洋科学の膜理論の世界が理解できます。Onenessがどういうことなのか、1つであるということが明確になることで、これまでの人類の知識で説明が不可能だった世界も説明が可能になっていくのです。
 悟りの世界は単なる知識ではありません。この世界をどのように現実で使っていくことができるのかが次の段階になります。老子の世界観は静的な悟りで捉えられがちですが、悟りのメカニズム=「道」を生き方に応用する観点が生まれてきます(牧牛)。
 新しい生き方の経営のモデルとして孫子の兵法を道具で使うためには「間」を悟るレベルが必要です。「今ここ」とつながった思い方の悟りを通して、絶対世界と相対世界を自由自在に応用活用できる生き方を現実のものにしていくことができます(騎牛帰家)。

 ここまでの流れの全体を可能にするために必要な道具が、言語の悟りです。観術がイメージ言語を開発したのは、この今までイメージ不可能・応用活用不可能だった世界をイメージ可能・応用活用可能にするためです。異質の次元を疎通交流させ、正確に伝達と交流を可能にする新しい道具を得て、新しい生き方を構築する段階です(忘牛存人)。
 絶対世界と相対世界を自由自在に使うことで、これまでの人類の知の不完全性を明確に理解することになります。ここに、全く新しい世界のイメージ、すなわち無知の完全性を獲得することで、人類の知の不完全性を補完しすることができるのです。天動説から地動説にパラダイムが移動したように、人類が無知の恐怖・死の恐怖から卒業し、今ここをスッキリと全体を知った状態からスタート可能になります。できない、足りない、わからないから完全に自由になった知識の悟り・知の大統合を達成できます(人牛倶忘)。

 死の恐怖を克服し、自らの生きる目的や使命を明確にできた個人が増えていき、そこから生まれる関係性と社会の再構築が起きていきます。農業社会の中心は「農場」でしたが、そこから富の源泉が工業社会の「向上」へ移動しました。次に来るのは人間の心、感動社会の中心となる「知場」へとエネルギーの中心が移動してきます。
 いかに感動とバイタリティを爆発させる生き方を可能にするのか。思い革命・感動革命を通して、人間の尊厳性と未来への誇りに溢れた感性を大爆発させるのが未来社会です(返本還源)。
 このように人間が神であり神以上である、想像の主体そのものであるという人間の身分上昇がおきたならば、その生き方が一般化され常識化されていく悟りの科学化、科学の悟り化が達成されます。今ここ、既に悟っている自分を認識しながら生きることが当たり前である。その生き方を現実化したいと本気で勝負していきたいのが観術の意志なのです。人間の無限の可能性を広げていく世界を作っていきたいという革命の悟りが生まれていきます(入鄽垂手)。その生き方を共有しながら、全く新しいスマートライフスタイルを共に創造していきたいと願っております。

 今回は、質疑応答の時間も取ることができ、「どうやって観術を紹介したらいいのか?」「なぜ日本から勝負しているのか?」など、参加者の皆様のとても真剣で温かい心を感じる質問が相次ぎました。
 Noh Jesuも本気でお答えし、日本の可能性と観術の必要性を熱い心で感じていただけたのではないかと思います。終了後も、短い時間ではありましたが直接Noh Jesuとの交流のために長い列を作ってお待ちいただきました。

 また、Noh Jesuから、今年はこれまでの学術バージョンの講座だけではない、観術を取り入れた場づくりにチャレンジし、今ここワクワクを実感していただきながら体感できるようにしていきたいと宣言がありました。日本全国をワクワクのムーブメントで元気にしていきます!どうぞみなさまご期待下さい!

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 今回で教育思想シリーズ「十牛図の世界」が終了いたします。3月より新シリーズ「21世紀を生きるスマートライフスタイル」が始まります。新しい生き方とはいったいどのようなものなのか?今ここの現実と直結する内容になりますので、みなさまのご来場お待ちしております。

 2月はこれまで約3年にわたり公開講座で取り上げてまいりました教育思想シリーズの中から、般若心経・老子道徳経・孫子の兵法・聖徳太子十七条憲法・十牛図の振り返りということで総集編をお届けいたします。これまでのシリーズを聞けていない方もこの機会にぜひご参加ください!

2012年、みなさまの応援に支えられながら、感動社会を現実化するべく頑張ってまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。