第86回 HITOTSU学公開講座 (2013.7.13)

連日の猛暑の中にも関わらず、多くの方にご来場いただき、誠にありがとうございました。今回は、公開講座リバイバル教育シリーズ「孫子の兵法」の第3回目(全4回)を迎えました。

孫子の兵法とは、今からおよそ2500年前の中国大陸で、戦乱に明け暮れた時代の最中に生まれた世界最古の兵法書です。人間の本質に根差した普遍的な原理原則が書かれているため、軍事戦争のみならず、ビルゲイツ氏や孫正義氏といった有名な経営者もビジネス戦略に活用されています。

なぜ今、孫子の兵法をHITOTSU学の解析を通して学ぶ必要があるのでしょうか。
それは、東洋思想を「昼」「夜」というものに性格的に分類すると、
釈迦や老子の悟りが愛や平和を語った世界を「夜(寝ているとき)」とすれば、孫子の兵法で語られる人間や戦争の本質の世界を「昼(起きているとき)」に分けることが出来ます。

軍隊を活用する戦場から、企業を活用する市場へと戦争の構図(パラダイム)が変わり、これからの時代の新しい戦場は創場・心場(自分の意識空間)へと今まさにパラダイムシフトが起きるタイミングを迎えているのです。

今は、自分の意識空間の中での考え感情をコントロール出来ず、家族内や企業内の関係性づくりに悩み、情報の洪水に翻弄され生きる方向性を見失いやすく、生きるのがとても難しい時代です。そんな時代に自分の意識空間を整理整頓し、幸せ感動の生き方が出来る心の経営はとても重要な事ではないでしょうか。

次に、第一~七篇の振り返りへと入りました。
第一「計篇」、第二「作戦篇」、第三「謀攻篇」、第四「形篇」、第五「勢篇」、第六「虚実篇」、第七「軍争篇」のポイントを交えてお伝えしました。

詳しい内容をご覧になりたい方は、第1回目第2回目の開催レポートをご覧ください。

今回は内海講師より、第八「九変篇」、第九「行軍篇」、第十「地形篇」、第十一「九地篇」の内容が伝えられました。シリーズ第3回目を迎えた今回のキーワードは、「メタパターン革命」です。

まず、第八「九変篇」の一般的解析としては、軍隊を運営するにあたり、九種類の臨機応変の対処法や将のあり方を語っています。つまり、「この地形ならこうするべき」という「AならB」というパターンを理解して、戦場の多様性と変化を知る将軍こそが用兵を理解していると言えます。つまり、地形という空間の多様な変化に対する柔軟性があって勝利を収めることができるのです。

第九「行軍篇」では、軍隊を進めるにあたっての行軍の注意事項や、敵の状態の偵察、敵情判断の際のポイントを説いています。
HITOTSU学の観点でみると、真の前進とは「多様な抵抗や限界を突破し、前進し続ける勇気と智恵」であり、(1)地形(空間)を知り、(2)自分を知り、(3)敵を知り、(4)天時(時間)を知ることが究極の前進原理であると言えるのです。

そのためには、「AならB」というパターンを整理・理解して、さらにすべてのパターン、因果律、法則性を統一する5次元HITOTSUの動きそのもののメタパターンを悟り知る事が重要であるというお話がありました。

第十「地形篇」では、地形の特性に応じた行軍や戦術の運用法、軍隊の統率法が語られています。具体的には6種の地形とその特性に応じた戦術、将軍の統率や指揮による6種の敗因があげられています。
HITOTSU学の観点としては、地形とは時空と存在の究極の「相性」であるとみます。
地形篇を現代の私たちの生き方に活かすならば、メタパターン革命によって五感覚脳の観点固定から卒業し、この時代の流れ、条件・状況・環境がどうなっているのかを解析することといえます。

第十一「九地篇」では、九種の地勢のパターンと、それぞれに応じた戦術を述べるとともに自軍をわざと絶体絶命の窮地に誘導することで、兵士に決戦を促す戦法を述べています。「死地」という厳しい状況にあってこそ、「呉越同舟」のように人間の好き嫌いといった目先の感情を超えて助け合い、「恒山の蛇」の如く、機敏に反応できる軍隊になり、本来の力を発揮できるのだと語っています。

今までの政治のパターン、経済のパターンだけでなく、私たち一人ひとりの考えのパターン、生き方のパターンでは、今の時代で幸せ感動溢れる生き方を獲得するのは難しくなっています。
また、それぞれの自己の五感覚脳の観点・判断基準に固定されたままでは、無益な争いや無駄な摩擦が終わらない不毛な人類歴史のパターンは終わることはありません。今の時代の危機的な状況はまさしく「死地」に追いやられている状態といえます。

HITOTSU学の観点では、「死地」とは「死ぬ気勝負、真理(生死を伴う戦い)、究極の勝負パターン、生きて死ぬ智恵」です。

本来の力を発揮するには、今講座で繰り返し伝えている「メタパターン革命」が必要という観点でお伝えいたしました。

今回も多くの皆様のご来場、誠にありがとうございました。
第4回は、8/4(日)の開催です。次回は孫子の兵法シリーズ最終回となります。また参加されたことのない方もお気軽にご参加ください。また来月もお会いできることを楽しみにしております。