第93回 HITOTSU学公開講座 (2014.2.15)

リバイバル教育思想シリーズ「十牛図編」の第二回目を開催いたしました。

十牛図とは、禅で悟りにいたる道程を十枚の絵で表したものです。言い換えれば、無知の苦しみを解決し六道輪廻から抜けるという、人間の宿命的な課題を解決するプロセスをあらわしたものと言えます。
今回は、この十牛図を日常的な問題解決にも活用し、現代を生きる多くの人が抱えている感情の代表とも言える「不安」を解消するプロセスをテーマに、皆さんと理解を深めていきました。

HITOTSU学(観術)では、十牛図にもう1枚を追加し、十一牛図として解析していますが、1番目の絵:尋牛の前に0番目の絵を付け加え、正しい問題意識、人間の現在地を明確に知ることを正しい悟りの道のりの第一歩として重要視します。

人間と動物の決定的な違いは、未来について考えることです。未来を予測することが不安へとつながるのですが、同時にこの不安があることによって人間は成長してきました。
しかし、この人間に本質的に特別に備わった「考え」は、反して人間の変化成長の妨げにもなっており、それが産業社会から新社会プレートへと移れない原因にもなっています。
考えの走る道について前回もお話しましたが、私たちは暗記言語を元にした考えの走る道につかまり、抜け出せない状態にあります。固定した考えを展開していることがいかに危ないことなのか、またその状態から自由になるALL ZERO化の重要性も合わせ、人類が共通にして知るべき、解決すべき問題意識をまずお伝えし、「不安解消」の0番目:問題意識へと進みました。

 

0・問題意識

不安は、個人の問題と思われがちですが、不安には、本質的、現実的、時代的という3つの側面が土台としてあります。この3つを人類共通の無意識的な不安として持ったうえで、各個人の状況や背景により、それぞれに違った不安を持つのです。これが不安の全体像です。

本質的側面:
すべての不安を生み出す不安が「無知の心」です。普遍的な答えを持てないため、条件や状況に合わせていつも変わらなければならず、常にバランスを保つのに忙しくなります。
なぜこのような不安がそもそも備わっているかというと、それは不安を克服し悟るため、悟りの必要性を感じさせるためであると言うことができます。

現実的側面:
本質的側面を土台として現実的側面である「持続的なワクワクができない心」という不安があります。小さな時から常に条件状況によって合わせるために考えることを練習するため、ワクワクが続かず不安で、そのうち他人の評価が気になったりと、自分や他人の判断基準に敏感になります。
もしかすると、食事も、本当に味わって美味しいと感じているのではなく、1000円払ったのだからと条件を考え、美味しいと思い込んでいるかもしれません。
現実的側面の本質的な目的を考えてみると、このような不安を備えているのは自分独自の判断基準に固定されずに目標を持つことの重要さ、すべては自分の思いの解析の蓄積の結果であるということに気づかせるためと言うことができます。

時代的側面:
古代・中世の農業社会は、個人は王の所有物としてモノのように扱われていましたが、イギリスの産業革命やフランスの市民革命をきっかけとして、個人は自らのものであると「生命の個人化・私有化」へと移行しました。そして現代は、さらに個人のエゴが爆発し、自分の判断基準が絶対正しいと利己主義になり、個人が互いに生命を脅かすという無限競争が起こり、不安が蔓延しています。
さらに日々の生活に事欠くことも少なくなり、未来について考える余裕もできました。しかし、この未来の概念は、現代は昔以上に条件や状況が目まぐるしく変わるため、今の条件が続かないことへの不安、つまり未来予測ができない不安をつくり出しました。
時代的側面の本質的な目的を考えてみると、このような不安を抱えているのは、未来を創造するため、未来をコントロールするにはどうすればよいかを考えさせるためと言うことができます。

 

1・尋牛

牛は不安を誘発する犯人だとみることができます。また不安を理解するためにはその反対であるワクワクの心をイメージすることが重要です。子供の頃持っていた無限大の好奇心を私たちは失ってしまっています。
                                         

2・見跡

では、なぜワクワクすることができないのでしょうか?その原因(端緒)に注目していくと、判断基準の問題にいきあたります。生まれてから今までずっと育ててきた、自分独自の判断基準に固定されてしまうことが、ワクワク感動できない原因なのです。
                                         

3・見牛

判断基準とは何を明確に理解することが必要です。判断基準の5つの特徴((1)誰もがもっている(2)みんな違う(3)ひとつにするのも問題(4)不完全(5)無意識に絶対と思い込んでいる)を理解することを通して、そこから生まれる固定された現実画面・5感覚の限界・今までの言語で出会えるイメージの限界(暗記言語の限界)・一般常識化された集団知性の問題も理解できてきます。
これらの過去のイメージをZERO化することができなければ、結局は変化することができない輪廻の罠にはまってしまいます。
                                         

4・得牛

イメージのZERO化をする=問題の根から自由になるためには、現実は条件付けられている錯覚世界であることを知ること。どんな条件にも永遠に変わらない絶対世界から、条件によって変化する相対世界=錯覚世界が生まれることを理解することが必要です。脳の錯覚メカニズムを理解することで、問題の原因からの解決と、新しいイメージとの出会いが早まっていきます。
                                         

5・牧牛

真実の原因態と錯覚の結果態が1つになっている=Onenessの状態そのものになったときには、問題が問題ではなくなってしまいます。仏教ではこれを9段階禅定の①~④段階の有想三昧として語っている世界です。
                                           

6・騎牛帰家

意識の宇宙と物質の宇宙がひとつ。自分と他人がひとつ。その本来の状態を脳が分離Image展開して四苦八苦の世界を作り出す世界を理解したときに、不安が生まれる過程全体を俯瞰することができ、自由な世界が生まれます。
                                         

7・忘牛在人

不安がなくなった状態(牛の存在さえも忘れた状態)になった時には、考えがとてもシンプルになっています。関心があることは、宇宙がある状態(相対世界)と宇宙がない状態(絶対世界)をひとつにしている世界。そのひとつがなんなのか?という最終的な質問ひとつだけがあるのです。(Final Question)
                                         

8・人牛倶忘

最終の質問があれば、最終の答えがあります。Final Answer=イメージ不可能な究極の世界そのものであることが理解できたときに、考え卒業・人間卒業。第2の誕生が生まれます。究極の可能性に満ちている究極の存在態・不動心・不動の意志で生きる生き方に目覚めた段階です。
                                          

9・返本還源

不安そのものがなくなった存在として、すべての存在に対して無限の意味付価値づけを可能にする究極の意味態の状態で生きる段階です。
                                         

10・入鄽垂手

自らの意志で、どんな関係性を構築していくのか?自分一人だけではなく、感動の連鎖を作り出していくことができる究極の関係態の状態で生きる段階です。
                                         

 

今回は、十牛図を活用して、不安解消のプロセスを整理し、ワクワクの未来をつくることができることをお伝えしました。明確な問題意識は、問題解決と、新しい未来に対する道を案内してくれる答えを導きます。

来月のテーマは「振り返りとまとめ」です。来月も皆様のご参加を、スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。