第121回 HITOTSU学公開講座 (2016.9.4)

今回より、第121回HITOTSU学公開講座「ソフトウェア戦争を勝ち抜く“日本の人づくり戦略”」全3回シリーズを新たに開講させて頂きました。

内容に入る前にHITOTSU学の概論からスタートしました。HITOTSU学と今までの学問との大きく異なる点として、「認識(パラダイム)」の仕方があります。人間がこの現実世界を脳を使って認識する時、この脳には独特な癖があることを説明いたしました。

「パラダイム」をキーワードに話を進めさせていただきました。簡単に訳せば「今の時代の当たり前」です。「今の時代の当たり前が当たり前ではないことに変わる」ことが「パラダイムシフト」です。

例えば、地球が固定していた天動説から、地球が自転公転する地動説へと時代の当たり前が大きく変わったコペルニクス的転換がありました。

今は、人間自体のパラダイムシフトが起こる時代です。昨年、量子力学の実験において、量子の振る舞いを観測した瞬間に粒子化することが実証されました。このことは、存在が実在しないことを示唆しています。つまり、今までの当たり前である存在が実在することが証明できない時代になったのです。

明確な論理とイメージを持って、パラダイムシフトを能動的に案内していくのが観術、HITOTSU学です。

前半は、全体的な話として、ソフトウェア戦略の重要性、日本の現在地を説明いたしました。

まず、ソフトウェアが何なのかというと、ユーザーとハードウェアをつなぐ間の役割を担っています。スマートフォンにはiOSやAndroidといったOS(Operating System)、FacebookやLINEなどのアプリケーションが入っています。

コンピューターの進化とソフトウェアの進化は同じように、人間とコンピュータは同じ5つの構成要素を持っていることを説明いたしました。

人間自体をバージョンアップさせるには結果にアプローチしても変わりません。原因にアプローチする必要があります。人間にとっての原因は、5感覚から情報を入力する認識です。人間の認識は初期設定のまま進化していません。認識を次元上昇させる技術がメタコグニティブテクノロジー(認識技術)です。

 

ソフトウェア戦争とは何かの話として、まずアメリカのテスラモーターズによる自動車開発のことをお伝えいたしました。自動車のスマートフォン化が現実化しつつあり、今後電池が軽量化されれば、多くの企業が自動車メーカーが参入する可能性があると言っています。

今からの自動車メーカーのライバルとなるのは、GoogleやAppleといった企業です。なぜなら、ハードウェアはコモディティ化(均質化)していきます。パソコン市場でIBMとMicrosoftがソフトウェアとマイクロプロセッサというプラットフォームの覇権を握ったように、将来電気自動車(EV)というハードウェアに搭載するソフトウェアを提供するGoogleやAppleなどがプラットフォームの覇権を握っていくでしょう。

そして、車だけでなく、あらゆるものがインターネットにつながる時代になっていきます。IoT(Internet of things)→モノのインターネット化、IoE(Internet of everythings)→すべてのインターネット化へ時代が進んだ時、全てを掌握するのはソフトウェアなのです。

ソフトウェアの意味、位置づけの重要性に気づいているかが大事なタイミングですが、日本は立ち遅れています。

アメリカは、オバマ大統領自らが「すべてのアメリカ国民に学んで欲しい言語がある。それはプログラミング言語だ」とプログラミング言語の重要性を説いています。

中国の動きは、GFW(Great Fire Wall)で自国を囲い込み、外国企業を遮断し、自国の産業を育て力を蓄え、自分たちは世界へと市場を拡大しています。

ドイツは、政府主導で毎年400億ユーロ(約4兆6千億円)かけて第4次産業革命へ取り組んでいます。製造業へ投資し、高度システム化という競争優位性を獲得するであろうドイツと比べて、日本はこれまでの製造業中心のままでは、プラットフォーマーの下請け化が起こりジリ貧になる可能性があります。

日本は、人工知能研究において、「完全に周回遅れである」と言われています。もちろん、巻き返し努力は必要ですが、このまま同じ土俵で戦うだけで良いのでしょうか?

日本が置かれている現状に対して、追従していく問題解決ではなく、ゲームチェンジしていく全く新しい勝負をしていくことが必要です。

産業課題だけでなく、世界全体の潮流を観ると、人間文明は、農業社会→産業社会→IT社会→スマート社会→AI社会へと西洋のパラダイムをベースに進んできました。

しかし、西洋パラダイムがもたらした現状は、うつ大爆発、世界秩序崩壊、超格差社会などの危機に直面しています。果たして、AI(人工知能)が進化し便利になることで、テロがなくなり、人間は本当の幸せを得られるのでしょうか?

西洋のパラダイムがもたらした現状から新しい秩序を作っていかないといけません。今、本当に人間が変わらないといけないタイミングです。そんな大事な時に人工知能に任せるだけが人間の進むべき方向性なのでしょうか。

AI(人工知能)は指数関数的に進化を遂げています。人工知能が2045年に技術的特異点を迎えることをシンギュラリティと言われていますが、すべての人間の知能知性を超えて、AI(人工知能)の進化が人間の未来予測が到達できない領域になってしまう、と言われています。

すべての人間の知性・感性・理性を100億倍も凌駕する超知能が生まれた時、私たちは本当の幸せを手に入れているのでしょうか。

私たち人間は、3つの危機と直面しています。

 1、雇用の危機

 2、アイデンティティの危機

 3、存在意義、尊厳の危機

そして、「自分は何者で、何のために存在しているのか」という最終的な問いかけに答えることができなければ、人間は尊厳を失い、映画マトリックスのように人類がAI(人工知能)に栽培される存在になるかもしれません。

だからこそ、ソフトウェア戦争を勝ち抜く“日本の人づくり戦略”なのです。既存の流れに追従するのではなく、日本はまったく違う勝負をすること、それが“IT以降の新教育、新経済”なのです。

今まで、インダストリー1.0から4.0で開発してきたのは、人間の外の技術や道具ばかりをバージョンアップさせてきて、人間自体は変わっていません。

今、人工知能が人間の仕事を奪うのではないかと危惧されていますが、それは「人間にしかできない仕事は何なのか?」という人間の本当の可能性を開かせるプレッシャーと見ることもできます。デジタルマインド・メタ知識によって、人間機能の開発をすることをインダストリー5.0と表現しています。

まとめに「今までの経済、素材、教育」から、「 IT以降の新経済、新素材、新教育」の変化を伝えさせていただきました。

人間を含めたすべてがインターネットとつながっていく近未来、その基盤であるソフトウェアの覇権を取る戦争が今起きています。西洋の追従ではなく、もっと深い根底をとるのが日本の人づくり戦略です。

この宇宙自然の現実世界もコンピュータと同じでとることができるのがトータルOSだということを説明させていただきました。

 

会の最後には、HITOTSU学創始者・Noh Jesu氏からポエム「この世の中に~」が送られました。

次回、シリーズ第2回目は、10月16日(日)の開催です。また会場にてお会いできることを楽しみにしております。今回もご参加いただきましてありがとうございました。

 

今年2016年5月から大阪を皮切りにスタートした、「人工知能を超える」日本発の教育革命を世界へ広げていくJAPAN MISSION・JAPAN DREAMのムーブメントを、これから一人でも多くの方と共に起こしていきたいと願っています。

JAPAN MISSION PROJECTの全国リレー講演、次回は東京にて、10月2日(日)に開催いたします。

今後も引き続き、東京、福岡、札幌、長野、広島など全国の主要都市で開催が予定され、他にも様々なイベントをご用意して、みなさまの参加をお待ちしております。

「JAPAN MISSION PROJECT」ホームページ

http://project.japanmission.jp/

また、今講座の様子を新時代のメタプラットフォームKanjutsuTVでご紹介しております。最先端の観術コンテンツをいつでもどこでも、300本を超えるオンライン動画で学ぶことができます。また、オフラインの交流の場「オフ会」も活用することができます。

https://www.kanjutsu.tv/