第48回HITOTSU学公開講座(2010.4.10)

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教育思想シリーズ第4弾 HITOTSU学と『孫子の兵法』は、今回で最終回を迎えました。1~13篇、総まとめとなる今回は、21世紀に孫子の兵法を取り上げる意図・背景・目的を共有し、質疑応答を通して全体を総括しました。

孫子の兵法が編纂された2500年前の戦いの場は戦場、そこから戦いの場は市場における企業間競争へと移行しました。そして今、パラダイム転換が必要な時であり、HITOTSU学ではそれが市場から心場への変化であると言っています。孫子の兵法はこのような時代状況に最適な知恵であり、また、パートナーシップや家族間という身近な事柄にも役立つ知恵が詰まっています。

孫子の兵法シリーズ全体の総まとめということもあり、今回はNohさんよりパラダイム転換というマクロな観点よりお話が展開されていきました

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学術が発展し、物質文明が高度に発達している現代ですが、今の学術では、水一滴がどのように成り立っているのかが説明できないのが現代文明の現在地です。それは、そもそも「計ること」、つまり判断基準に問題がある状態だからです。判断基準には異質性不完全性の限界があり、
この判断基準を私たち人間は誰しも持っています。また、資本主義社会では終わりなき競争が繰り広げられ、生理的欲求、安全の欲求、所属欲求、認定欲求の土台とする成長エンジンは消えかけています。この限界の突破口は一体どこにあるのでしょうか?

孫子の兵法では、最も重要なキーワードの一つは「計る」ことであると言います。「計る」ことはつまり、「道(タオ)=分け方」です。判断基準の限界を突破していく道とは、4次元5次元に分けることです。空間3次元+時間1次元の4次元世界の中を細かく分ける学術は、西洋がリードしてきましたが、それだけでは物事が複雑になる一方で統合ができず、新しいビジョンが生まれません。これからは、物事を統合すること、4次元の複雑なイメージをシンプル化することが必要です。
そのためには、限界ある判断基準だけに固定された観点を自由自在に変化・運動・移動させることができる観術が欠かせないのです。観点が自由になることで人間観が変わり、無限のやる気、アイデアが溢れ出し、自分で自分をモチベートすることが可能になるのです。

質疑応答では、その場で会場のみなさんより時間が許す限り質問をいただきました。
例えば、
Q:個人・組織の多様な問題を5次元認識テクノロジーで解決できるということがどいうことなのか、具体的に知りたい。
Q:Nohさんの話は、人文科学、社会科学、物理学、宇宙論、経済学、政治学など多様な分野へと及びますが、そのベースにあるものは何なのでしょうか?
というような質問がされました。

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私たちは一体、子孫にどのような文明を残すことができるのでしょうか?観点の移動により、自己実現、自己完成、自己超越の欲望を引き出せば、人間の無限の可能性を引き出すことができます。記憶に依存する、西洋が主導してきた知識、教育は、ロボットに取って代わられるでしょう。今までと違う、人間を開発・開拓できるメタ知識がこれからの時代には求められます。日本が今直面している多様な危機は愛であると、Nohさんは言います。
この危機を突破できる新しい世界と出会う勇気が、私たち日本人一人ひとりに必要なものです。今こそ、日本の新しい国家ブランドを打ち出すタイミングをむかえています。

1年以上にわたった「孫子の兵法」シリーズは今回で最後となりました。リピーターで毎回参加される方、初参加の方など、毎回多くの方々にご来場いただきまして本当ありがとうございました。

次回からは全4回シリーズで、HITOTSU学と聖徳太子『十七条憲法』の世界をお届けします。『十七条憲法』から読み解く、日本と世界の進むべき道とは?どうぞご期待ください。

新シリーズでも皆さまとお会いできることを心待ちにしております。