第52回 HITOTSU学公開講座(2010.8.22)

猛暑の中での開催となった今回は、聖徳太子『十七条憲法』シリーズの最終回でした。聖徳太子が志した「和の政治」にはどんな意味があったのか。そして、この現代社会で「和」を考えていくことにどんな価値があるのか。それらを総括していきました。

まずは、HITOTSU学とはどのような学問なのかをお伝えしました。HITOTSU学は、心がスッキリで希望・感動そのもので生きられる道を案内します。そのためには、現実が四苦八苦の不幸であり、錯覚・バーチャルであることを知る必要があります。人間の5感覚脳に観点が固定され、現実画面を絶対視している状態では、人間の良さ、人間の可能性を本当の意味で活かすことができません。HITOTSU学では、人間の5感覚脳の観点固定から、観点を次元上昇させることを通して、人間の本質的限界を突破させます。聖徳太子は、実は十七条憲法の中で、この次元上昇した観点を持つことの必要性と重要性を説いています。

 
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聖徳太子は「和の精神」の具現化、「和の政治」に挑戦した人物でした。その証が、第一条「和を以て貴しと為す」から始まる十七条憲法です。国家理想としての「和」に向かうため、例えば第一条では人間の無明性からくる黨(トウ)の克服を語り、第二条では「和」を実現するための方法としての仏教の悟りを尊重し、第七条では無明を克服し悟った人物によるリーダーシップを求めています。民衆は豪族に隷属するのではなく、それぞれの立場から「和の国」という共通の理想へ向かうことができる、民のための政治が志されているのが十七条憲法です。
各条の詳しい解析はこちらをご覧ください(一条~四条五条~十二条十三条~十七条)。

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1400年前に聖徳太子が打ち立てた理想である、生きとし生きるものがそれぞれの個性を発揮する「」の世界は、私たちが生きる現代社会に反映させているのでしょうか。かつては王などの絶対的支配権力のもと、人と人が殺し合う戦争が日常でした。王から自由になった現代は一見平和に見えますが、自分の中に目を向ければ、「考え」に支配され劣等感から抜け出すことが難しい状態です。これは言うなれば、自分の中に自分を支配して苦しめる王がいるようなものです。それは、無明性からくる党派心が克服できていないことと同義です。この問題を解決しない限り、聖徳太子が目指した「和」の世界は実現化できません。

今日本は、国家負債がGDPの2倍を超え、いつ国家破綻が起こってもおかしくはない状況です。そのような中で、世界の68億人を希望の社会へ導ける「和」の世界が実現可能なのは日本しかないと、15年間一貫して言い切っている人がいます。それが日本人ではなく、韓国人であるNohさんです。聖徳太子がどんな意識で何を願ったのか、21世紀の新しいライフスタイルのモデルとしての「和」の世界の具体的イメージであるJAPAN MISSION、JAPAN DREAMがNohさんから語られました。

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聖徳太子は、仏教・神道・儒教の“いいとこ取り(融合)”をして「和」を具現化しようとしました。現代では、そこに数学・物理学の現代最先端科学の要素をプラスすることが不可欠です。それが学術を補う観術であり、科学技術を補う認識技術です。それは、人間の根本煩悩である無明と、そこから生まれる劣等感と判断基準を越えた悟りを可能にする技術です。悟ることができる人間の可能性(仏性)を目覚めさせる技術が、今この日本で完成されているのです。
日本の国家ブランドである物づくり産業に未来が望めない今、この新しい技術を使い、人づくり産業を打ち立てて欲しいと、Nohさんは言います。人と人がつながる良さを持つ日本だからこそ、1400年前から連綿と続く「和の精神」が眠る日本だからこそ、人づくり産業を胎動させることができるのだと。現代の多様な危機を大反転させるスーパーヒーロー産業が、この日本から誕生することを世界が待っているのです。
そのブームを創っていくのは「和の心」を持つ日本人一人ひとりです。今の生き方に「No」を訴え、今までにない価値を生み出すことが求められます。私たち一人ひとりの選択に未来がかかっているのです。聖徳太子が1400年前に目指した理想「和の世界」を、今こそ現実のものにする時ではないでしょうか。

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聖徳太子シリーズは、今回をもちまして終了です。ご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

次回からは、「孫子の兵法を活用した21世紀企業の経営戦略」と題しまして全10回シリーズでお届けします。次回以降もみなさまに楽しんで頂けるよう努めてまいりますので、今後ともHITOTSU学公開講座をどうぞよろしくお願いいたします。